住所が要求されるのは管轄の問題だけではありません。
訴状の送達の関係で、住所(あるいは居所)は必須です。
裁判所には訴状を2通(正本、副本)提出します。
その正本は裁判所の記録に編綴され、副本は裁判所から被告に送達されます。
そして、被告が送達を受けた時に、初めて訴訟が動き出します。
これを、訴訟が「係属」したと言います。
基本的に送達は書留郵便で行われます。
したがって、郵便送付先の住所がわからないのでは送達は果たされないことになり、訴訟は開始しないことになります。
住所「不定」の相手に訴訟を提起したり、また、「多分あの辺に住んでいる」で訴訟を提起したとしても、実質的には全く訴訟は開始しないことになります。
これを不便と感じる方も多いと思いますが、しかし逆の(訴訟を起こされる側の)立場で考えてみれば、送達を経ないと訴訟が開始しないというシステムは被告側の手続保障にとって重要な役目を果たしていることになります。
例えば、どこの誰とも知れないAが、「宮城県仙台市のどこかにいる甲に対して100万円を貸しているから、それを返してくれ」という訴訟を仙台地方裁判所に提起して、甲が実際に仙台市のどこにいるかはわからないし訴状も送達されてないけど訴訟が始まってしまう、というのでは甲にとって大変です。同じことを考えたBもCも同様の訴訟を甲に対して提起して、送達なしでA、B、Cが全員勝訴判決を得てしまったらどうなるでしょうか。甲は、全く何も知らないうちに100万円×3人分で300万円を支払わされることになり、これは到底妥当とは言えません。
被告の住所に訴状が送達されることで「あなたに対してこういう権利を主張している人がいますよ、あなたのほうで反論があれば反論してください」というシグナルになるわけです。
したがって、送達のためにも住所は必要になります。
ネット上の掲示板等で弁護士に関する不満・意見などを見ていくと,よく見られる不満に「弁護士に訴訟を依頼したのに和解を勧められて不信感をもった」というもの,あるいは「弁護士に勧められて和解したけど納得いかないので再度提訴しようと依頼したら無理だと言われた」というものがあります。
たしかに,徹底的に相手と戦うつもりで事件を依頼したのに,提訴したらいきなり裁判所から和解を打診された,自分の頼んだ弁護士も和解を勧めてきたけど,何で和解なんかしないといけないんだという感想を持たれる方もおられるかもしれません。
ただし,訴訟における和解は「訴訟上の和解」と言って,一般的な和解契約とはかなり法的な意味が異なるものです。
ここでは訴訟上の和解ということについてある程度詳しく解説します。
前田誓也法律事務所
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