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過去問で練習しよう

 

平成25年 刑事系第1問

平成25年 刑事系第1問
 
検討の前に
平成25年度司法試験、論文試験の刑事系第1問を検討してみました。

前提条件として、私はこの文章を書くにあたっては、基本的に、法務省の発表する出題趣旨(毎年9月頃発表)や、また大学や予備校の発行した速報や解説を一切読まないようにしました。
また、問題文を読んだ後にはネット上で見られる刑法の条文のみ読んでおり、関連する基本書や判例等も読まないようにしました。

その前提で検討して、出来上がった結果が、決定的な誤りとまではいかないにしても、論点の一部について、出題意図に十分に答えきれていないものになってしまったようです。
一応必要な論点には触れていると思われますが、「早すぎた構成要件の実現」について最高裁の平成16年判例をおさえた記述ができていません。
この文章を作成した後にネット上にあった解答速報を見て、自らの検討結果の不十分な点を知ったものです。

「司法試験の勉強法についていろいろ書いていた割にはこの程度か」と批判される可能性もあるのかなとは思いましたが、元々論文答案がなかなか書けないという方のために何か書こうということで司法試験勉強法のような文章を書いてきたわけですし、正直に自分の検討結果をさらけ出したほうが、最初から全て調べた上で書いた検討結果や答案よりも、きっと学生や受験生の方にとっては、参考になる部分もあるのではないかと思い直し、途中の注意書きを除いてほぼそのまま載せることにします。
少し負け惜しみじみた言い方かもしれませんが「本格的な受験勉強から十年くらい離れていても、刑法に関する受験向けの知識が相当抜け落ちていても、この程度までは書けるんだ」という意味で、その内容の正しさというよりも、思考過程のほうをご参考にしていただければと思います。

司法試験の勉強法を考えるに当たっては、過去問の検討は重要です。
そして、過去問の検討をするに当たっては、正解を覚えるのではなくて、まずは条文を頼りに自分の頭で考えることが大事になります。
大事なのは、ある程度の基礎知識があることを前提にトライ&エラーを繰り返す中で、思考過程を磨くことです。

それでは、検討結果を見て、どんな検討のプロセスを経ているのかを見てみてください。
 
 
問題文を読んでの検討(第一印象)
問題文は法務省のホームページで見ることができますのでそちらを見ていただければと思います。

問題文を読みましたが、一度読んだだけではどう書けばいいのか、よくわかりません。
漠然と、甲については共謀共同正犯か何かかということ、乙については因果関係の錯誤の問題と放火の危険性の問題か何かかということを感じはしましたが、一回読んだだけで即断するのは危険なので、何回か繰り返して読んでみることにします。

そして、問題点を洗い出します。
いくつかの論点が思いつきますが、最初から論点に飛びつくのではなくて、まずは刑法総論・各論的な視点の両方から考えてみます。

まず、ここは受験のセオリー通り、結果発生に時的・場所的に近い存在である乙から検討します。
実行犯から検討することで、仮に後で共犯の問題にするときに思考や記述を整理しやすいためです。

なお、問題文を見ただけで論点や答えがわかるということは、よほど単純な問題でない限り有り得ません。
旧試験の時代は問題文が短い(その代わり的外れになる危険性が高いですが)ので、見た瞬間で大体の論点が分かるケースというのもありましたが、新司法試験の問題文は長いので、まず良く読みましょう。

ここからの検討においては、的外れな答案を書いてしまうかもしれないという恐怖との戦いにもなります。
方向性さえ合っていればあてはめや結論が少々おかしくても点はつくでしょうが、方向性がまるで外れていればいくら努力して沢山書いても点はつきません。
これは実際に受験をするほうからすればなかなかの恐怖感です。
何があるかわからない暗闇の中に、自分の、完璧とは言えない知識と思考だけを頼りに、するすると降りていくかのような感覚です。
基礎知識の付いていない段階では、ガイド(暗闇の喩えで言えば照明)付きで問題を解くのもいいですが、ある程度慣れてきたら、この独特の恐怖感と闘う訓練ということで、条文のみで答案を書く練習をしましょう。
 
乙の罪責(前半)
乙については、大きく二つに分けることができます。

(前半)
Aが、自ら運転するB車のトランクに乗せられていることを知らず、その後にAの声がきっかけでAの存在に気付いたものの、甲(親分)の意図を察して、そのままAを焼殺することを決意し、トランク内にいるAの口をガムテープでふさいで、車を再度運転したこと。
(後半)
そして、Aが実は車酔いからのおう吐で窒息死しているところ、それに気づかないままB車を人気のない駐車場に停めて、他の車に延焼する危険はないものと判断したうえで、火をつけたところ、隣のC車をすすけさせたこと。

ここで、まず前半の行為について分析してみます。

乙は、事前には甲(親分)がB車の焼却処分ということでAを殺害しようとしている意図を知りませんでした。
しかし、Aの声でAの存在に気付き、Aを焼殺する意図で、ガムテープで口を塞いで、そのままトランクに閉じ込めています。
そこで、監禁罪が成立することには問題はないものと思いました。

次に問題となるのは殺人罪です。
人を殺害するという要件は満たしているので、刑法各論的なところは問題ありません。

ここで、刑法総論的な問題を検討しましょう。
行為(ガムテープで口を塞いで監禁)はありますし、結果(A死亡)もあります。
問題は、乙の意図した経緯で死亡結果が生じたわけではないということです。
因果関係と、故意の問題になりそうです。
なお、正当防衛等の違法性阻却事由はないですし、責任能力など責任阻却事由もありません。

まずは、こうやって刑法総論的な視点、刑法各論的な視点から行為を分析して、問題となりそうな箇所を洗い出すわけです。
仮に正当防衛だの責任能力だのが一切問題とならないような事例でも、違法性と責任を(答案にはさほど書かないにしても)検討します。

例えばこのような検討の仕方です。

(乙前半)
行為 △ 結果 〇 因果関係 △ 故意 △ 
違法性 〇
責任〇

というように、刑法総論の体系を書きだしたうえで問題になりそうな箇所を△でマークしておくと良いです。

また、刑法各論的な観点からは、うっかり成立しうる罪を見逃さないように、ざっと条文を読んでみましょう。
条文をざっと読んだ結果として問題になりそうな罪名を書き出しておくのが良いと思います。

繰り返しになりますが、合格者と言えども、最初から論点や問題にすべき条文が完璧に見えるわけではないです。
勉強していれば何となくこれかなという目星は尽きますが、それだけで答案を書きはじめることはできません。
こういった分析の結果、大体このあたりが問題となりそうだというところを見つけたら、結論をどう持っていくかを検討します。

試験で大事なのは結論まで書ききることですから、先に結論をある程度(完全ではなくても)決め打ちして、そこに持っていくためにどういった論証とあてはめをするかを考えます。
もし検討した結果どうしても当初考えた結論に持っていけないなら修正します。

乙の罪責のうち前半(トランク閉じ込め)については、まずは乙の行為とA死亡の結果との間の因果関係が問題となるように思われました。
ただ、これは因果関係ありと認定して構わない事例であろうと思いました。
縛られて動けない人の口をガムテープで完全にふさいで山道を走らせれば、トランクに閉じ込められた人がおう吐して窒息死するというのはそんなに考えにくいことではありません。
これが、後部座席に普通に座らせていたのに、急にAが持病の発作で死亡したというのであれば因果関係は否定される可能性もあります。
ただ、本問の場合は因果関係はさほど問題なく認められると思いました。
因果関係は、基本的には故意・過失の問題ではなく「偶然かどうか」の問題ですので、ここでの判断は緩やかでかまわないと思いました。

次に、こちらが乙の罪責(前半)の主題と思われますが、乙はAの口をガムテープで塞いで車を運転することがA死亡の結果に繋がるとは思っていないことから、自分の意図しないかたちで結果が発生してしまった場合に関する処理が問題となります。
自分の意図しない経過で最初に意図した結果が発生してしまったときにも、故意責任を認めてよいかどうかという問題かと思われました。
故意がないということで殺人罪成立が否定されれば結果的加重犯としての監禁致死しか成立しません。
ここでも、結論をどう持っていくかを考えました。

ただ、ここはかなり難しかったです。

例えば、この事例を離れて、XがYを溺れさせて殺害するつもりでYを崖から海に突き落としたところ、Yは崖の途中で飛び出た岸壁に頭を打ちつけて死亡してしまったという場合、殺人罪の成立が認められないのは不当でしょう。
かと言って、XがYを殴打して殺害するつもりでYに殴り掛かったもののYが避けて、避けたところにYがよろけて倒れて、コンクリートの床に頭を打ちつけて死亡してしまったという場合、Xに殺人罪の罪責を負わせるのはさすがに酷でしょう。

ここで、上にあげた二つの例の違いは、最初の行為がそれ自体危険なものであるか、そうでないかです。
したがって、最初に「その行為自体が結果を発生させるに足るものであるかどうか」で結論を分けることを考えました。
前者の例では行為自体が結果を発生させるに十分なので、単に因果関係の錯誤の問題として(反対動機には直面しているから)故意を肯定します。
後者の例では行為自体が結果を発生させるに十分ではないので故意を否定します。

ただ、故意というのは反対動機(これは犯罪であってしてはならない行為である)に直面しつつもそれを認識・認容することを言うわけですから、前者の例で「人を殺してはならない」という反対動機に直面して乗り越えているのは当然として、後者の例でもやはり「人を殺してはならない」という反対動機には直面しているし、乗り越えてもいるのではないかと考えました。

客観的な危険性の有無で故意の成立について結論が分かれるのはやはりおかしいと思い直し、因果関係の錯誤の問題として処理することにしました。

上記の後者の例(XがYに殴り掛かったところ避けたYが死亡した)はむしろ相当因果関係の問題として検討するべきと考え方を修正しました。
相当因果関係が肯定されている以上は、行為者本人が因果関係をいかに間違えたとしても、実行行為の時に反対動機(殺してはならない)に直面しつつもそれを乗り越える決定をしているのですから、故意の成立に問題なしとすることにします。

(解答速報を見た後の注意:実はこれは先に思いついた、第一行為の危険性や、予定されていた第二行為との関連性によって区別をつけるという理屈のほうが判例に合っていて出題の趣旨におそらくよりよく応えているのですが、その判例知識が抜けた状態で検討してしまっているので優秀答案にはならなくなっています。考えすぎて少し的を外してしまっており、これは失敗です)

他方で、因果関係を、最初は軽く流しても構わないと思いましたが、因果関係の錯誤に過ぎないとして故意をあっさり肯定してしまうので、やや厚くあてはめ等を行うことにしました。
その視点から問題文を見ると、Aが手足を縛られているのに加えて、「山中の悪路」「20キロメートル」「1時間」という、因果関係を認める方向に使えそうな事情が問題文中に見受けられました。

したがって、乙の行為の前半については、監禁罪と殺人罪を成立させる方向で検討しました。
 
乙の罪責(後半)
乙の罪責のうち、後半の、駐車場でB車を焼いた件について考えてみます。

まず、乙としてはそれによってAを焼き殺すつもりであったところですが、Aが既に死亡しているので殺人罪は成立しません。

乙は殺人の意図でAの遺体を焼損しているので死体損壊罪が問題になりそうにも思われますが、人の命を法益とする殺人罪と、どちらかというと社会的な、慰霊や死者を尊重し弔う気持ちを法益としている死体損壊罪では保護法益がまるで異なっているので(抽象的事実の錯誤)、死体損壊罪も成立しない、としていいのではないかと思いました。
この点は出題の趣旨には含まれているかどうか微妙ですが(簡単すぎるので)、一応答案作成の際は触れる程度に書くであろうと思います。

残るは建造物以外放火罪です。
B車両を焼損しているのは間違いないですが、刑法110条の条文を見ると単に自分の所有物を燃やしただけでは罪にならないので(それだと自己所有地での焚火も全部犯罪になる)、「公共の危険」を生じさせたかどうかが問題になります。

ただ、ここは公共の危険を生じさせたと認定して差し支えないところではないかと思います。
仮に、放火の「公共の危険」を抽象的危険犯と解するのではなく具体的な危険を要するという具体的危険犯説に立つとしても、風向きによって5メートル離れたC車の左側面にも火がとどいており、実際にC車がすすけているからです。
車両ということを考えればガソリンに引火する危険も十分あったでしょう。

これが、隣の車と10メートル以上も離れており、無風の屋内で、周囲も土やコンクリートなどであり延焼可能性のない中で燃やしたというのであればまだ危険が生じたかどうかの判断は微妙でしょう。
しかし、本件の場合で危険性を否定するそのような事情はありません。

また、Bが「危険なし」と判断した根拠は風向きだけですから、危険なしの判断とするにあたっては甚だ軽いと言わざるを得ません。
この点は、仮に放火の「公共の危険」を結果的加重犯(過失なし含む)ととらえずに、行為者の過失を必要とする見解でも、建造物以外放火(110条2項)の罪を成立させて構わないと思いました。

罪数処理については後で考えるとして(監禁罪と殺人罪が観念的競合になるとして、建造物以外放火とは併合罪になるのかなと漠然と思いましたが)、次に甲の罪責を見てみます。
 
甲の罪責
最初は、甲が暴力団の組長であることから、よくある類似問題(組長など絶対的な地位にあるものが部下に命じて犯罪をさせた場合)のように共謀共同正犯を成立させるべき事例で、後は共謀の発生時期の問題かな(乙が甲の意図に気付いたのは甲と別れた後)と思いました。

ただ、問題文を読み返すうちに、どの時点においても共謀が成り立っていないのではないかということに気付きました。

もしかして、甲は乙をA殺害の道具として使ったということで間接正犯の方向で検討したほうがいいのではないかということでもう一度問題文を読み直してみました。
すると、甲が、Aの呼び出し、睡眠薬を入れるためのコーヒー購入、睡眠薬入りコーヒーを飲ませる、眠ったAを動けないように縛ってトランクに入れる、Aを焼殺するためのガソリン購入、乙の家に行ってB車を燃やす場所まで含めた具体的な指示をしている、と、いかにも甲の間接正犯(正犯性)の認定に使えそうな細かい事情が散りばめられていることにようやく気付きました。

そこで、甲は(Aに対する監禁罪が成立することは当然として)Aの殺人についての間接正犯が成立するのではないかという構成で考えてみることにしました。

そうすると、甲の行為は上記の通り相当綿密に計画を遂行しており問題なしと思われました。
A死亡の結果も発生しています。
因果関係も、途中で甲の道具だったはずの乙が甲の意図に気付いて自分の意思でAを殺害してしまっているので少々難しいですが、一応認められるように思われました。上記のような用意を整えたわけですから、Aが閉じ込められた車両をBに引き渡した時点でA死亡の結果は偶然ではないと言えるからです。

故意については問題なく成立しています。
正当防衛等の違法性阻却事由、責任無能力等の阻却事由もありません。

問題があるとすれば、甲は乙を何も知らない道具(道具という言い方が分かりづらければ手駒)として使うつもりで乙にB車を引き渡したのですが、途中からBは自分の意思でAを殺害しており(Bの行為とA死亡に因果関係を認めたことは前述のとおり)、その場合に間接正犯と言えるのか、A殺害について正犯者が2名いることになるが、それが妥当かという問題があるように思われました。

ただ、共同正犯の例から言っても、刑法は一つの結果について2名以上の正犯者が出ることを必ずしも否定していないと見られるので、Aには監禁罪と、殺人罪の間接正犯を成立させて問題ないと思われました。


ここで、乙は放火もしていますので、この点も検討します。
乙の建造物以外放火については、A殺害と異なり、甲が指示したことであるので、共犯の問題になります。
甲は採石場の駐車場が公共の危険がなく安全だと思っていたのですが、実際には乙の建造物以外放火により公共の危険が生じてしまったので、ここの処理が少し難しいです。
甲の行為を共謀共同正犯としても教唆としても、共犯者間の錯誤の問題になるかと思います。
公共の危険が生じないと思っていた点について、甲にあったのは殺害の故意であって建造物以外放火の故意ではない(建造物以外放火の構成要件に示された反対動機に直面していない)と言えるので、故意が阻却されて建造物以外放火は成立しない、という結論になるかと思われました。
したがって、車を燃やして処分することを指示すること自体は(行政法規に触れる可能性はあるとしても)刑法的には不可罰となるかと思われました。

甲には監禁罪と、殺人罪の間接正犯が成立し、罪数としては観念的競合になると思われました。
 
検討を終えての感想とアドバイス
上記の文章を書いた後、ネットで解答速報を見て、平成16年最高裁判例への言及を落としていたことに気付き、久々に悔しい思いをしました。

ただ、仮に平成16年判例に気付いていたとしても、その判旨を完璧に暗記しておいて書きつけることなど土台できなかったでしょうし、検討した結果として、やはり実行行為の客観的な危険性をもって主観的であるはずの故意の有無を判断するのはおかしいという結論に至って、同じように因果関係の問題で処理していたかもしれないと思います。

いずれにせよ、自分でいろいろ考えて書いた結果として平成16年最高裁判例を落としていたわけですから、私はこの論点が次にどこかで出た時には、最高裁判例の判旨を外さない答案を書けると思います。
開き直るわけではないですが、トライ&エラーが大事というのはそういうことです。
最初から完璧な答案が書けるわけではありません。
答案添削や解説講義を受けている人は、講師や合格者が、問題を見た瞬間にすべての論点をたちどころに見抜いてすべての論点について適切な判例と記述を思いついているのではないかという誤解をしているかもしれません。
私も同じで、勉強を始めてしばらくは、講師や合格者というのは途方もなく知識と判断力が高い人たちの集まりだと思っていました。

ただ、自分が受かってみると(他にはもっと優秀な方々がいらっしゃると思いますので念のためそこはフォローしておきますが)、別に、受験生と比べて知識や判断能力に大きな差があるわけではありません。
単に、合格しない人よりも少しだけ基礎知識を繰り返し勉強した回数が多いこと(その分、いざという局面で基本を踏み外した判断をしてしまうことが少ない)、それと、難しいとかよくわからないとかの問題でも、何とか自分なりにいろいろ考えて検討しよう、知識が十分でなくても思考で埋めようというしつこさ(良く言えば粘り強さ)があることが違いだと思います。

論文答案をどう書いたらいいのか、どう検討したらいいのかわっぱりわからないという人は、いたずらに論文答案を暗記しようとしてはいけません。
論証パターンの暗記はある程度基礎をつけるために必要ですが、それは必要なプロセスとして経るにしても、論文答案は知識だけではどうしようもないところもあります。
そういった局面で最後に差がつくところは、普段から、人に言われたことをそのまんま鵜呑みにするのではなく、自分で考える姿勢をつけているかどうかだと思います。
合格者でも100点満点の答案を常に書けるわけではないですし、間違うこともあるのですから、まして受かってない人たちが間違うことを恐れることはないはずです。失うものがないわけですし、誰も間違いを笑ったりしません。

少し勇気が出たら、司法試験の問題を題材にして、条文以外参照せずに自力で検討してみていただければと思います。
 
追記
本文作成後に基本書等の該当部分を読み直して、気になった部分を順次検討・修正していきます。

1.
建造物以外放火罪は元々具体的危険犯ですので具体的危険犯「説」というのは不正確です。また、結果的加重犯説と対立するのは、「行為者の過失を必要とする」見解ではなく、「公共の危険の認識を必要とする」見解です。検討の骨子には大きく影響しないと思われますが、念のためこれも修正します。

2.
なお、「公共の危険」の認識不要説をとった場合、建造物以外放火について甲の故意を否定するのが難しくなるように思われます。
ここも、よく考えるとかなり難しい問題です。
ただ、ここは「公共の危険」の認識不要説でも、「公共の危険さえなければ犯罪不成立なのだから、公共の危険が発生する可能性すら察知しえなかったような場合には反対動機に直面したと言えず故意は否定される」等と書いて、甲についての建造物以外放火を否定するのが妥当ではないかと思います。

3.
本問においては、甲は間接正犯の故意で教唆の結果を生じているから、間接正犯と教唆の錯誤の問題になるのではないかという解説があり、受験知識に立ち戻って考えればたしかにそれもそうかと思う部分がありました。
これも思いつかなかった論点でして、間接正犯と教唆の錯誤の問題として教唆犯成立の方向で処理すれば良かったと思います。
ただ、個人的には、問題文を読んでも「教唆」の実体が読み取れなかったことと、乙が気づくか気づかないかによって、先行する甲の行為が殺人の実行行為になったりそうでなくなったりするのは時系列を逆に遡ることになってしまうのではないかという考えもありました。
この点については、最初の検討の根拠として、団藤重光『刑法綱要総論(第三版)』429頁にある「この種のばあいは、乙の看破にもかかわらず、甲の行為は殺人の実効行為にあたるであろう。したがって甲は−乙と競合的に−殺人罪の正犯になるものと言わなければならない。甲の行為によって乙が殺意を生じた時点で教唆にもなっているが、これは、正犯に吸収されるものと解するべきである」という記述をお借りしたいと思います。
ただ、受験の際は間接正犯と教唆の錯誤で教唆犯成立させるほうが通説なので、そちらで書いたほうが良いと思われます。

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